kanjuuunのブログ

タイニーハウスで暮らすことについて

リエコノミーという可能性

トランジションタウン、という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

地域の資源(人、もの、金、情報)を活用して脱石油型社会へ移行していく活動を行っている地域・コミュニティのことを言います。

 

最近のニュースの中で、

IPCCという政府間機構が「今世紀末までに温暖化ガスをゼロに」という限りなく無理っぽい目標を掲げていることに、そこまでしないとヤバイの?と疑問に感じたり、原発とエネルギーの問題を日々見聞きしている中で、何かしら環境変化に対する危機感を抱いている人は増えていると思います。このまま温暖化が進行した場合、

対策を強化しない場合、今世紀末には20世紀末に比べて平均気温が最大4・8度、海面水位が最大82センチ上昇する恐れがあると予測

 (神奈川新聞)地球温暖化報告 警告、真摯に受け止めよ | カナロコ

ゼロメートル地帯が広がる三大湾(東京湾・伊勢湾・大阪湾)で海面が 60センチ上昇するとゼロメートル地帯の面積は559平方キロメートルから861平方キロメートルに、影響人口も388万人から576万人に、それぞれ5割拡大する。(BLOGOS)今のままなら500年で最大6.63m海面上昇 東京湾も影響

 といった直接的な影響も懸念されています。また、昨日、二酸化炭素の温暖化以外の影響として、以下のようなニュースが報じられていました。

でも、実際のところ自分に何ができるのか、漠然とした不安で終わっている人も多いのではないかと感じています。

 

環境配慮型社会に向けて、個々人のレベルで寄与できるものが、最初にあげたトランジションという考え方です。平たく言えば、地産地消の拡張バージョン。地産地消は、どちらかといえば農業主体の考えですが、トランジションに基づいた、地域で生産し消費することで生まれるメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

  1. 流通コスト、エネルギーの削減 → 環境負荷軽減、温暖化ガス排出抑制
  2. 地元企業の支援と地元雇用の促進
  3. 非常事態(災害、極端な物価上昇など)においても、最低限地域での生活維持が可能

 

イギリスのトットネスという小さな町で2005年にトランジションは生まれました。日本でも、複数の町でトランジションが実践されています。

トランジション・ジャパン公式ページ | より多くの人とつながるために

トランジション藤野 Transition FUJINO

トランジションタウン小金井

などなど。まだまだ実験段階のようですが、この動きは全国で広がり始めています。

 

イギリスでの具体例として、以下のようなトランジション活動報告があります。

  • 飲食店の使用済み食用油から作られたバイオディーゼルのみを燃料として走るバス会社
  • ホームレスを廃ビルに住まわす代わりに、ビル管理をしてもらう活動
  • 地産地消にこだわったパン作り
  • リサイクル自転車の販売、レンタル

タイニーハウスだったら例えば、

輸入材ではなく地元のスギやマツを建材にする。そうすることで林業従事者を支えることにもなりますし、適度な木の間引きであれば森林保護にも役立ちます。木は年をとると二酸化炭素を吸って酸素に変える力も衰えるそうです。古い木は木材として活用し、新しい木を植樹することで、二酸化炭素削減にも貢献できます(岩手県職員で林業にも携わられていた氏家誠悟さん談)。

自分でわが家を作る本。

自分でわが家を作る本。

 

 

リエコノミーについて

さて今回のタイトルである「リエコノミー(Reconomy)」ですが、これはトランジションに包含される考え方で、家計(economy)を考え直し持続可能な地域社会を作る、といったイメージになります。

 

地域で消費すると、競争機会も減り、海外の安く手に入るものまで高くなるんじゃないかという不安もあるかと思います。また、近いからといって安全安心が手に入る訳でもないんじゃないか、例えば福島県産の野菜に対する放射能汚染の心配など。リエコノミーの基本となる考え方に立ち返ると、

  1. 何が起こっても持続可能復元可能な社会づくり
  2. 適切な資源の利用
  3. 適切なローカライゼーション(必要なものを必要な分だけ。過剰に生産しない)
  4. 社員を大切にする

です。支出については、負担増となるケースもあるかもしれません。でも長い目で見たら、地域を育てることが自分にも持続的利益になって帰ってくる。あるいは、電力供給をオフグリッド化したり、電力の無駄を減らすなどの工夫次第で支出を減らすこともできます。今まで当たり前だと思っていた、車や家のローンといった固定費も見直す。固定費の見直しの重要性については、アルファブロガーのちきりんも著書「ゆるく考えよう」の中で以下のように語っています。

「家計が苦しくなり節約が必要になったとき、多くの人は食費や旅費など変動費の切り詰めを始めます。けれど重要なのは変動費ではなく、固定費の水準を下げることです。」

ここはタイニーハウスが貢献できることが大きいんじゃないかなぁ、と思っています。

 

リエコノミーの活動の肝となるのは、下記動画でも紹介されているように「持続可能性」にあると思います。



そのためには株式会社、NPO、ボランティアといった組織形態の枠にとらわれず、みんなで知恵を出し合い地域によっても異なる問題を解決し、豊かな地域を共に築きあげていく、といった集合知共生意識が欠かせないと考えます。たとえ財政破綻で国が立ち行かなくなったとしても、自分たちの生活を維持していける地域社会。将来に対する不安は、家族という枠も飛び越えて地域の輪で取り除いていく。

地方・地域重視の考え方に「道州制」がありますが、トランジション・リエコノミーと決定的に違う点を端的に言えば、上から変えるか、下から変えるか、です。日本維新の会が中心となって地方分権への変革を行おうと奔走していますが、明治の廃藩置県以降140年の長きにわたり揺るがない官僚主導型の中央集権をそう簡単に切り崩せるわけがありません。そこには多くを期待せず、下から、草の根から変えることにこそ、価値があると思うわけです。理想論だと言われるかもしれませんが、そこは実践あるのみですね。自分自身を含め。試してみる価値は十分にあると思っています。

そして何よりも、地球温暖化から日本の美しい季節の移ろいを守りたい、という思いも強くあります。

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少し長くなりました。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

次回は、

「福島でいま何ができるか?」

を題としたいと思います。