kanjuuunのブログ

タイニーハウスで暮らすことについて

エコプロダクツ2014報告①

12/11〜13の3日間東京ビックサイトにて開催された国内最大の環境展示会「エコプロダクツ2014」に参加してきましたので、ご報告です。3日間通しで参加しましたが、シンポジウムや公演メインでの参加のため、環境配慮型製品など企業ブース巡りはあまり出来ず、情報として偏りがある点ご承知おきください。

 

記念シンポジウム

”無限から有限へ”エコの力で挑む地域創生〜地域資源を活かした新たなエコビジネス/ライフスタイルの創造〜

と題したシンポジウムで、経産省環境省の審議官クラスのお二方が基調講演を行ったあと、2時間のパネルディスカッションという形式。基調講演については、以下のビジョンと戦略が示されました。

  • ビジョン「環境と生命・暮らしを第一義とする文明論的認識の下、真に持続可能な循環共生型社会の実現を目指す」
  • 6つの基本戦略
  1. 環境と経済の好循環の実現(グリーン経済成長の実現)
  2. 地域経済循環の拡大(地域活性化の実現)
  3. 健康で心豊かな暮らしの実現
  4. ストックとしての国土価値の向上
  5. あるべき未来を支える技術の開発・普及(環境技術の開発・普及)
  6. 環境外交を通じた新たな22世紀型パラダイムの展開

また、地域経済産業分析システムを2015年度から各市町村が使えるようにする、とありました。ビッグデータの活用。どの程度市町村が役立てることができたのか、数年後に活用結果を見てみたい分野、ではあります。

 

パネルディスカッションは、コーディネーター役の川北秀人氏(人と組織と地球のための国際研究所)のファシリテーションが素晴らしく、パネリストの意見をうまく引き出されていました。パネリスト参加者は、松岡俊和氏(北九州氏環境局長)、安斎保氏(北海道下川町長)、三浦秀一氏(東北芸術工科大学教授)、深尾昌峰氏(龍谷大学准教授)、大津愛梨氏(九州バイオマスフォーラム副理事)の5名。

 

行政規模は違えど、早くから環境問題、地域活性化に市をあげて取り組んできた北九州市と下川町。両者とも2008年に国の環境モデル都市に選ばれています。

松岡氏は、政令指定都市である北九州市がスマートコミュニティで実現しているように、エネルギーの見える化=計りを持つこと、同義的に足るを知ることの大事さを説いていました。リアルタイムでの見える化でなくとも、行政単位でのエネルギー収支を可視化し、町の規模に合わせた自然エネルギーへの代替を行うのは、今後の行政主導による循環型地域創生プランの柱になるかもしれません。

 

一方下川町は、人口3,500人弱という小さな町で、町面積の88%が森林であることを生かし、木質エネルギーによる循環型の持続可能な地域づくりを実現している。30年に渡る木材価格の下落で疲弊している国内林業が多い中で、バイオマスボイラの導入など設備投資を定期的に行うなど、行政主導で林業活性化に貢献してきた意味は大きく、輸入燃料に依存している市町村のよいモデルとなりそうです。次回取り上げますが、東北大学大学院環境科学研究科教授の新妻弘明氏が提唱するEIMY(Energy In My Yard)の実践型で、たとえ木材資源がなかったとしても、活用できる自然エネルギー(水力、地熱、栽培植物系、廃棄物系、雪氷、海洋、河川・湖水熱、動物、位置など)は何かしらあり、これらを使い合わせて、二酸化炭素排出を抑制しつつ、輸入燃料依存度を下げ、域外資金流出も抑えることができる。まだ実践していない市町村にはトライして欲しいですが、単なる設備投資やシステム導入で失敗している例は山のようにあるそうで、成功の決め手は、地域理解、知足、ということになりそうですが、これも詳細はまた次回に。

 

三浦氏は山形にある東北芸術工科大学で教壇に立つ傍ら、自ら稲作をし、薪をエネルギーとして暮らす生活。堅実な暮らしだけれども、お金がなければ実行力や継続力が乏しいがゆえ、里山資本主義を主張。「里山資本主義」著者の藻谷浩介氏も最終日に公演(詳細後述)で話していましたが(声色の高低を使い分けた話し口が少し不気味な印象)、外部資本への依存が低く、市町村の自主管理性が高い場合には、ぼくも支持する考えです。

 

続く深尾氏は、龍谷大学准教授ながら、東日本大震災後にソーラー発電会社を設立した実績を持つ。氏は補助金などのサポートよりも、その地域で集めたお金で地域活性化を行う社会投資、平たい話が国債買わずに地方で金落としてね、と主張。

 

大津氏は、ドイツのミュンヘン工科大学修士を取得し、現在阿蘇の麓で家族で農業を営む3児の母。若いうちは親子共々伸び伸びと家計の入りも出も少ない田舎で暮らし、子供が大きくなり就学費が増えるタイミングで都会に移れるようになる社会が理想と話していました。大卒者は就職前に是非農業をして、そこで培われるマネージメント能力などを磨いてほしいとも。

 

川北氏がパネルディスカッションの終わりに、

時間のエコロジー

という提起をされていました。町の行事や会議の棚卸をして、自由になった時間で今回のディスカッションで出たアイデア70個強+αの利活用について考えてほしい、と。エネルギーの話題でいっぱいになっていた会場の空気を、別な切り口でぱっと変えて〆るあたり只者じゃないなと、脇役ながら今回の展示会で最も気になった人でした。

 

次回は

エコプロダクツ公演について、です。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。